姿勢の改善
こうした姿勢や動作が習慣になると、しだいに背骨がゆがんで腰椎前弯が消失し、慢性腰痛を招いてしまうのです。以上のことから、慢性腰痛を改善するには、「悪い姿勢が腰痛の根本的な原因になっている」と気づき、それを正すのが何より重要です。そのためには、イスに腰かけるときも立っているときも、ふだんから腰椎前弯を保つ正しい姿勢を取ることが有効です。イスに座るときは、胸をできるだけ引き上げて胸を張り、腰椎前弯を強調した腰入れ姿勢を取ったら、少しづつ中の力を抜いて最も安定する姿勢で座ります。ちなみに、床に座るときは、正座をすると腰椎前弯を保ちやすくなります。立ち姿勢では、胸を反らしておなかを突き出し、腰椎前弯を強調したあと、過剰な前弯を減らします。このとき、おなかを引っ込めてお尻に力を入れます。腰椎前弯を保つ正しい姿勢を身につければ、しだいに腰への負担が減り、慢性腰痛が改善していきます。腰椎前弯が失われると腰痛が起こるのは、椎間板に偏った圧力がかかるためです。ネコ背姿勢で椎間板への圧力が後方にかかると、中にあるゼリー状の髄核が主に後方に押し出され線維輪が傷んで、腰痛を招くのです。腰は上半身と下半身をつなぐ体の土台ともいうべき部位です。「腰」という漢字には「体のカナメ」という意味が込められており、腰は昔から、人間の体の中でも特に重要視されていました。したがって、慢性腰痛を防ぐだけでなく、私たちが自立して健康的な生活を送るためにも、日ごろから腰椎前弯のある正しい姿勢を身につけることが重要になります。腰痛を予防・改善するには、体操を行うよりも腰椎前弯を保つ正しい姿勢を身につけることが大切である、と考えられています。
立っているときやイスに腰かけて仕事をするときには、腰椎前弯を意識して保ち、背すじを伸ばして胸を張った正しい姿勢を取るようにしてください。 なお、ネコ背姿勢や前かがみの動作を長時間続ける場合は、時々まっすぐ立って腰を後ろに五、六回反らし、意識して腰椎前弯を作るといいでしょう。そうすれば、椎間板への負担が軽減されて腰痛の発生や悪化が防げます。
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