仙腸関節機能障害
仙腸関節は仙骨と腸骨の間にある関節であり、周囲の靭帯により強固に連結されていますが、わずかな動きしかありません。このわずかな動きであっても、動きが障害されると痛みが出現することがあります。症状は腰痛や臀部痛、鼡径部痛あるいは下肢痛で、ぎっくり腰のように急激に痛みが出ることもあれば、慢性的に痛みが続くこともあります。
仙腸関節障害は画像診断することは困難で、レントゲンやMRIでは明らかな異常が認められず、診断は困難です。コルセットは出産後に仙腸関節が不安定になっているときに有効ですが、通常の仙腸関節障害による痛みも軽減することがあります。大きな副作用は無いので症状が楽になるのであれば着けていても構いません。徒手療法(整体やカイロプラクティック)で仙腸関節が整復されることもありますが、痛みが強くなる危険もあります。
- 症状
- 症状は腰痛や臀部痛、鼡径部痛あるいは下肢痛で、ぎっくり腰のように急激に痛みが出ることもあれば、長期間慢性的に痛みが続くこともあります。痛みが無くても、腰やお尻のこりや違和感、あるいは動きの悪さとして自覚するときもあります。前屈みや後ろに反ったとき、あるいは腰を捻ったときに痛みが強くなることが多いのですが、どの動きで痛みが出るかは人によって異なります。
- 診断
- 腰痛や臀部痛あるいは下肢痛があることと、あお向けに寝て膝を曲げた状態で片方ずつ内側に倒していくフライバーグテストや膝を曲げた状態で片方ずつ外側に倒していくパトリックテストで痛みを訴えることで診断できますが、全例で陽性となるわけではありません。仙腸関節障害は画像所見として診断することは困難で、レントゲンやMRIでは明らかな異常が認められません。レントゲンやMRIで腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症あるいは変形性股関節症など他の病気の有無を検査しますが、腰椎の障害自体も症状と画像所見が一致しないことが多いことが診断を難しくしています。仙腸関節障害の症状は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症あるいは変形性股関節症などの腰椎や股関節の症状と似ていますが、腰椎と股関節および仙腸関節は近くにあり、それぞれが合併することもあるので鑑別診断はさらに難しくなります。
- 治療
- コルセットは、腸骨に巻きつけて骨盤を安定化させる装具で、出産後に仙腸関節が不安定になっているときに有効ですが、通常の仙腸関節障害による痛みも軽減することがあります。大きな副作用は無いので症状が楽になるのであれば着けていても構いません。整体やカイロプラクティックでは仙腸関節が整復されて腰痛や坐骨神経痛が改善することもありますが、スラストといって瞬間的に強い力を加えることがあるので痛みが強くなる危険があります。AKA博田法という徒手療法はスラスト的な強い力を加えることはなく有効な方法ですが、自分で関節の調整を行うことや予防は困難です。
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