足関節捻挫(前距腓靭帯損傷)
(そくかんせつねんざ)
足首の捻挫で外くるぶしの前距腓骨靭帯にストレスがかかり断裂すると、足関節の不安定性を生じ慢性的な痛みや不安定感を残すこととなります。前距腓靭帯損傷は前方引き出しテストを行うことで診断できます。
保存的治療が基本となり、サポーターやU字支柱の短下肢装具での固定が基本的治療となります。陳旧性の足関節捻挫で外くるぶしの腫れや痛みあるいは不安定性を訴える場合でも、U字支柱の短下肢装具での固定による保存的治療が有効で、瘢痕形成による安定化により2-3ヶ月で前方引き出しテストが陰性になってきます。
- 分類
- 臨床所見に基づいたJacksonらによる重症度分類は、疼痛と歩行状態から重症度を臨床的にI度(軽症)とII度(中等症)およびIII度(重症)に分類したものです。I度(軽症)は、疼痛は少なく正常歩行が可能で、前方引き出しテストは陰性のことが多く、靭帯の過伸展と思われます。II度(中等症)は、歩行可能だが疼痛のために跛行を呈し、前方引き出しテストは軽度~中等度に不安定性が認められ、靭帯の部分断裂と思われます。III度(重症)は、疼痛のために歩行困難で、前方引き出しテストは著明な不安定性が認められ、靭帯の完全断裂と思われます。
- 治療
- 保存的治療でも良好な結果を出すことができ、I度とII度はもちろんのことIII度であっても保存的治療が基本となります。急性期で腫れがあるときはRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)を行うが、あくまでも固定が基本的治療となります。I度は、テーピング固定や伸縮性のあるサポーターで治療可能です。II度は、2週間のU字型のシーネ固定後、1-2ヶ月のU字支柱の短下肢装具使用が必要です。U字構造のシーネや短下肢装具は、足関節の内返しは抑制するが底背屈をある程度許容し靴を履いて歩けるので、日常生活での制限が少なくという利点があります。III度は、L字型のシーネもしくはギプス固定で松葉杖免荷を2週間の後、ウォーキングブーツタイプで足関節の底背屈も制限した短下肢装具を2-3ヶ月使用することが必要である。完全断裂であっても適切な固定を行えば、瘢痕組織が形成されて安定性を回復できます。
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