後脛骨筋機能不全
(こうけいこつきんきのうふぜん)
中高年の女性が内くるぶしの腫れや痛みを訴える場合、まず念頭に置かなければいけないのが後脛骨筋機能不全です。レントゲンの異常はないのですが、MRIでは後脛骨筋腱内の損傷や腱の腫れがみとめられます。
治療は後脛骨筋に負担をかけないことが基本で、安静と装具療法を中心におこないます。痛み止めは短期間にとどめ、ステロイドの局所注射は腱組織の危弱性を促進するので行うべきではありません。痛みが軽いときはサポーターで治療可能ですが、痛みが強い場合はU字支柱の短下肢装具使用が必要です。
- 分類
- 後脛骨筋機能不全は様々な臨床所見が合わさった症候群で、痛みはあるが機能は保たれたステージ1から、運動機能が失われ変形が著名なステージ4までのステージ分類があります。ステージ1は、内くるぶしの先端から後方にかけての腫脹と疼痛があり、後脛骨筋腱の炎症が痛みを引き起こしているが、後脛骨筋腱の長さは保たれており運動機能は正常で変形も来たしていない状態です。ステージ2は、後脛骨筋腱は変性により伸張した状態で、荷重時には後足部が外反するが、変形は徒手的に矯正可能です。ステージ3は、後脛骨筋腱は完全に伸びきってその運動機能が完全に失われ、関節の変形が固まった状態です。前足部の内反変形と後足部の外反変形は著明で、徒手的な矯正は不可能です。ステージ4は、足関節への慢性的な外反負荷により、足関節の変形を来たした状態である。距骨の外反変形がみとめられます。
- 治療
- 治療は後脛骨筋に負担をかけないことが基本で、安静と装具療法を中心におこないます。痛み止めは短期間にとどめ、ステロイドの局所注射は腱組織の危弱性を促進するので行うべきではありません。ステージ1で痛みが軽いときはテーピング固定や伸縮性のあるサポーターで治療可能ですが、痛みが強い場合は2週間のU字型のシーネ固定後、1-2ヶ月のU字支柱の短下肢装具使用が必要です。ステージ2では、後足部を矯正した状態でのU字支柱の短下肢装具を2-3ヶ月使用し、疼痛が落ち着いたら内側ウエッジの付いた足底装具を継続的に装用します。ステージ3と4は、関節の安静と変形の進行を予防する目的で変形したそのままの型でウォーキングブーツタイプの短下肢装具、もしくは内側にフレアの付いたチャッカタイプの靴型装具で疼痛の軽減を図ります。関節の変形のために痛みが強い場合は、腱や靭帯(じんたい)を移行する手術やアキレス腱を延長する手術のほかに、骨に操作を加えて関節を固定する手術や骨切り術などが行われることがあります。
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